ウェブサイトのディレクションをしていると、たまに、お客さんから「え、それどういう意味ですか?」と2度聞きしたくなる要求、要望に出会うことがある。
たとえば、オンラインショップ。
大企業が運営するショップだとそういうことはあまりないかもしれないけれど、少人数で運営している店舗だと、たまに、購入のハードルをあげたい、という要求に出会う。
売上が絶好調で品薄だから、などのすぐに思い当たる理由がない時だと、かなり戸惑う。
こういう時は、とにかく「傾聴」である。
一番最初に、なぜ、そうしたいのか?というのをじっくりと探ること。
一番大事なのは、共感して、
それを態度で示すこと
よくよく聞いてみると、スタッフみんなが、モンスタークレイマーなお客様にメンタルを削られて、なるべくそういうお客様が来れないようにショップを改造したい、ということだったりする。
そんな場合いちばん大事なことは、まずは共感すること、ではないかと思う。
合理的に考えれば、極少数のモンスタークレイマーのお客様を避けるために、その他大勢のお客様を失ってしまう可能性のある施策をするのは馬鹿げている。また、モンスターなお客様に限って、そんなハードルを物ともせず、買い物し続ける可能性もある。
でも、それを冷静に伝えるのは、まだやめておく。
問題はお客様のメンタルにあるので、まずは、その辛さに寄り添うこと。自分がその立場だったらどんな感じか、想像してみること。
その上で、その辛さを取り除くのに、どういう方策があって何ができるかを、一緒に考えること。
考えて行く中で、購入ハードルをあげることは、いいお客さんがたくさん減ってしまう可能性もある、とてもリスキーな方法であることも、しっかりと伝える(いいお客さんは、いなくなる時は黙ってそっといなくなる可能性が高いことも伝える)。
この段階で伝えたことは、反発を受けずに、すんなり受け取っていただけることが多い。
最終的に、サイトに施す施策が同じになったとしても、施策の目指す方向性が後ろ向きでなく前向きのものになっていることが多く、また、施策をしないという結論になる場合もある。
ということで、クライアントさんとは戦うのではなく、共感力を使って味方になろう、その方が仕事がやりやすくなるよ、というお話でした。説得する前に共感してみるの、これほんとに大事。
実は、以前からうすうすそんな気がしていたんだけど、それがしっかり腹オチしたのは、出産して子育てする中で、必要に駆られて以下の本を読んだ時。
子供がイヤイヤで大暴れするときでも、何か必ず理由がある。それをこちらは受け止める準備がありますよ、という姿勢を示すと、相手もこちらに心を開いてくれて、解決の糸口が見つかる。
というようなことが、そのための具体的なテクニックも含めてぎっしり詰まっているとてもありがたい本。
子供いないし、当分結婚しないし…などと思った方も、よかったら書店あるいは図書館などで手にとってページをめくってみてください。身近な大人に当てはめて実験できそうな事例が結構な割合で見つかるはず、です。
追伸
傾聴するときには、「どうして?」「なぜ?」よりも「何があったか?」を聞くのがいいというのは、コマースデザインさんの以下のページでも触れられていて、とても参考になります^^
追伸2
この記事を書くのに、英語で「共感力」について調べていたら、共感を表すempathyという単語が、「Empathyは誰かに自分を重ねあわせ、相手のシチュエーションを理解すること」だという説明をしているページにゆきあたりました。私がこの記事で書きたかったことは、まさにその「empathy」の重要性、なのでありました。